MONTHLY REPORT · 2026 年 8 月号
「受けて終わり」をやめた理由 ── 学習システムが、一人ひとりの“バディ”になるまで
AI/DX 現在地レポート ・ 公開 2026-09-24
研修も AI も、入れただけでは定着しない。8 月号のテーマは「定着」。毎月のセキュリティ診断から始まった FiveVai の社内の学習基盤は、半年で、社員一人ひとりのトラックレコードを残し伴走する“バディ”のような仕組みに変わった。うまくいかなかったことも含めて、内田に聞いた。
第1章 なぜ「定着」なのか
QAI や研修が「入れたのに使われない」と最初に痛感したのは、どんな場面でしたか。
社内でも、外部で研修をしたときもそうでしたが、研修が終わってすぐに実際に試せる場がないと、どうしても知識で終わってしまいます。「研修を受けた」という体験だけが残るんです。定着させるには、研修と実務をつなぐ動線をきちんと用意しないといけない。そこを一番強く感じています。
Q使われなくなるとき、現場では何が起きていますか。
現場には基本的に、今のオペレーションを変えたくない、複雑にしたくないという気持ちがあります。「忙しいからできない」という話はいったん置いておくとしても、今のやり方にしっかり合わせないと、現場に根づかせるのはとても難しい。
だから、理解して納得したうえで使ってもらうことが必要です。まず、なぜ必要なのか。そして、それで何がどう変わるのか。そこを理解してもらうところからです。いい仕組みを入れる前の準備に、もっと時間と力をかける必要があると考えています。
もう一つ、「手順書を読んでください」だけでは、なかなか使われません。分からないところを分かるようにして、不明点を一つずつなくしていくことが大事です。
使われない=現場が悪い、ではないんです。こちらも理解を深めて、操作しづらいところやボトルネックになっているところを洗い出して直していく。お互いに協力しながら進めるプロセスが、とても大事だと思っています。
編集部から ─ DSS2.0 に翻訳すると
今月の DSS2.0 翻訳:定着を担う 3 つの役割 ── 目的を示す人、伝える人、直し続ける人
今月の話を DSS2.0 の役割に照らすと、定着を担う仕事は 3 つに分けて読める。何のためにやるのかを決め、推進メンバーとして自ら使ってみせるのは、ビジネスアーキテクトの仕事だ。なぜ必要で何がどう変わるのかを、伝え方を変えながら繰り返し届け、現場の納得をつくるのは、コミュニケーションデザイナーにあたる。使われないことを現場のせいにせず、操作しづらいところやボトルネックを洗い出して直し続けるのは、プロダクトマネージャーの役割だ。中堅企業では一人が兼ねることもあるが、3 つを分けて意識するだけで、「入れて終わり」は避けやすくなる。
今月スポットライトする役割(DSS2.0)
自社に置く役割と、外から補う役割から、現在地を読む
ビジネスアーキテクト
中小企業で言うと:経営の狙いを、業務・システム・PoC の形に落とし込む人。
なぜ今月:導入の目的を明確にし、推進メンバーとして自ら使ってみせる役割。内田は定着の役目を、推進メンバーと呼ぶリーダー陣に任せている。
最初の一歩:社内の改善テーマを『業務・データ・人・システム』の4つに分けて棚卸しする。
この観点で、自社の現在地を 5 分で診断する
「定着・推進体制」を含む 5 軸で、自社の現在地を数値化します
本レポートの読み方・出典
このレポートは、経済産業省・IPA などの公開資料をもとに、中小・中堅企業の経営の現場向けに FiveVai が読み替えたものです。公的な資料の要約というより、自社の現在地を考えるための、実務に寄せた読み替えとしてお届けしています。
- 経済産業省 公開資料
- IPA デジタルスキル標準(DSS2.0)
- FiveVai 社内 PoC 観察ログ
数値・制度・定義は、出典の資料を優先してください。FiveVai の見解は、実務に当てはめるための解釈として載せています。